
解説 美禰子の心の読み解き
美禰子は兄の縁談が決まり、自分の見合いもある。三四郎への気持ちはまだもやもやと残っているが、その見合いを断れない。
見合いのために香水を買いに来たら、たまたま三四郎に出逢った。気分は重かったが、咄嵯に香水を三四郎に選んでもらうことにした。
そうだ、三四郎に選んでもらって記念の香水にしよう。三四郎はヘリオトロープを選ん美禰子にとってはどんな香水でもよかった。
「それにしましょう」
とあっさり決めてしまった。でもそれは
「三四郎が美禰子のために選んでくれた香水」
という特別の意味があった。
気楽に楽しむ漱石入門「三四郎」』武田邦彦 (文芸社刊 2016年)より R0720250620