◎ 狂牛病は倫理の問題
狂牛病が本当に恐ろしいのは、病気そのものより、原因の方です。
なぜ狂牛病が発生したかというと、「ウシ同士を共食い」させたからです。さらに「親の肉を子供が食べる」とより危ないようです。
かつて、ウシの肉をいただ<牧場では、屠殺すると人間に必要なところを取って、その他のところは丁寧に埋葬していました。何しろ生きているものを殺してその肉をいただくのですから、丁寧に弔って、感謝しなければならない、そのぐらいのことは昔の人はごく当たり前にやっていたのです。
ところが世の中が世知辛(せちがら)くなって、肉を取った後のものを「もったいない」と「リサイクル」するようになりました。
そこで、屠殺したウシのガラを乾燥して、こともあろうに、ウシの餌にするという乱暴なことが始まったのです。最初はカラカラに乾かしていたようですが、そのうち乾燥の能率を上げ、石油を節約しようということになり、生焼けのガラを餌として与えるようになったのです。
それからしばらくして狂牛病が多発しました。動物は原則として共食いをしませんが、それには何かの自然の摂理があると思います。特に草食動物は草がなくなり、餓死するときでも自分の親や子供の肉を食べずに死にます。
でも、人間がウシを屠殺して、そのガラを乾燥して飼料の中に入れてしまえば、それを与えられたウシは食べざるを得ません。「強制的な共食い」なのです。
実は狂牛病は「プリオン」というタンパク質の形が変わり、それが脳に侵入することによって起こることがわかっていますが、共食いによる異常プリオンの発生はウシばかりではなく、人間でもヒッジでも見られます。
人間の場合は「クールー病」と言う名前がついていますが、パプアニューギニアで、長く葬式の風習として父親の体の一部を家族が食べる習慣がありました。そのためにパプアニューギニアでは毎年2000人を超す患者が出て、それを調査している過程で、異常なタンパク質が病気を引き起こすことがわかってきたのです。
このパプアニューギニアの方は、政府がその風習を禁止したので今では患者が出ていないと言われています。
狂牛病を恐れなくてもよいというのは、感染力が低かったり、ウシの肉を食べている分には問題がないと言うこともありますが、あんなに大量のウシが発生していたのに、原因がハッキリとわかった今ではすっかり発生しないことを考えれば、大丈夫という意味もあります。
ところが最近、日本でひどいことが起ころうとしています。リサイクルという美名の下で、コンビニエンスストアーの残った弁当を家畜の飼料にしようというのです。家畜はブタや鶏が予定されていて、コンピニ弁当の中にはブタや鶏肉が入っています。仮にコンビ二弁当から豚肉と鶏肉を除いても、添加物として肉が入っている場合もあります。
もしこんなことが実施されたら、また同じ過ちを犯す可能性があります。もし安全だと言うなら、実施するところはハッキリしたデータを示すべきで、このまま成り行きでコンビニ弁当のリサイクルをするのはとんでもないことです。
現代の社会では本来は監視すべき消費者団体やNPOもリサイクルと言われると金縛りにあうようで、全く安全を無視したことが多く行われています。
コンビニ弁当のリサイクルが始まったら、当面は、自衛策としてコンビニ弁当を食べないようにした方が良いと思います。私は買いません。
『家庭で行う正しいエコ生活』武田邦彦 平成21(2009)年 講談社刊より 20260121
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