今なお差別をし続ける共産主義国家
また、人種差別撤廃については、すでに第一次世界大戦後のパリ講和条約で、日本が提案した追加条項からの考え方が踏襲されています。
すなわち、パリ講和会議で日本が提案した考え、「各国均等の主義は国際連盟の基本的綱領なるに依り締約国は成るべく速に連盟員たる国家に於る一切の外国人に対し、均等公正の待遇を与え、人種或いは国籍如何に依り法律上或いは事実上何等差別を設けざることを約す」と同じです。
もともと人種によって人間を差別することは不適切ですし、フランス革命の「自由、平等、博愛」が本当に正しければ、日本が主張する人種差別撤廃などは当たり前なのです。しかし、当時はまだそのフランスですら女性に参政権が与えられていなかったのですから、フランスの言う「平等」などは「白人の口先」だけのことだったのです。
ともかく、東條英機首相のもとで日本は世界でも初めて「有色人種だけの国際会議」を実施し、そこで「大東亜共同宣言」を採択し、その内容はその後の世界の本流となっていくのです。
この会議はアメリカ、イギリスにとっては脅威でしたし、戦争が終わっても宣言に謳われたような「正しいこと」が世界で行われるのは自分たちにとって困ることだったのです。
それは中国共産党も同じで、中国共産党は「共産主義」、つまり「人間はすべて同じなのに、資本者階級と労働者階級があって、労働者階級が圧迫される。だからそれを開放するのだ」というお題目だけを掲げていますが、それはまったくのウソです。歴史的には、国内では資本家階級の代わりに共産党党員が支配し、対外的には周辺国を侵略するということになったのです。
戦後、中華民国との内戦に勝利した後、周辺諸国、つまりチベット人が住んでいたチベットからイギリスが撤退すると、白人の代わりに占領し、イスラム教徒の国だったウイグルを侵略、モンゴル内の政治的な混乱を利用して「内モンゴル」をとり、さらに日本がソ連に敗北して撤退した満洲国を併合し、さらには、朝鮮、ベトナムにも軍を出したのです。
戦争が終わっても、まだ旧態依然とした考えで世界に戦争をもたらしたのは、アメリ力と中国でした。だから、現在でも彼らは必死になって大東亜会議の存在と、大東亜共同宣言を無視しているのです。
もし共産主義がこの大東亜会議の精神を少しでも取り入れれば、現在のチベット、ウイグル、内モンゴル、そしておそらくは満洲も独立することでしょう。
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より R07202511012