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日本を潰そうとする強大な勢力に、対抗するために、、、、

III フランス革命〰新時代のヨーロッパから生まれたナポしオン 『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より

III フランス革命   〰新時代のヨーロッパから生まれたナポしオン

社会の矛盾が頂点に達すると……

社会の矛盾がある頂点に達したとき、社会は徐々に変化してその矛盾を解消するのではなく、「劇的」なことが起こってその矛盾の解消に向かいます。
フランスの市民は「王政」という不合理な制度に反発して革命運動を起こしたのですが、周囲の国はみな王政ですから、それらの国からの総反撃を受けて、激しい行動に出ざるを得なくなりました。しかし、どの時代でも、古い体制の価値観を持つ人が、自分自身で、時代の変化を読み取って、自らも変化するなどということはありません。常に旧体制に未練を持ち、そして最後まで頑張り、その結果、大量の人の殺裁などとなって不幸な結末を迎えるのです。
このように、旧体制の抵抗と、新時代の力は衝突し、いつでも悲惨な血が大量に流れました。フランス革命では他国との戦争ばかりではなく、国内的にも「ギロチン」という新しい処刑装置が考案され、パリの広場で次々と首が跳ねられたのも、激しい社会変化の中での人間社会の必然的な結果とも考えられます。
考えも及ばなかったブルボン家の王(ルイ十六世)と后(マリー・アントワネット)が断頭台の露と消えたのも、そんな人間社会の激しい変化の結果でした。
歴史の流れとは実に不思議なもので、大きな社会の矛盾が一気に解消に向かうと、そこで革命とか大戦争が起こり、それらはいったん始まると止まるところを知りません。
最初は、ちょっと変わるだけと思っていても、矛盾が大きければ大きいほど、徹底的な破壊にまで進みます。
フランス革命のきっかけは、「バスティーユ監獄の襲撃」という小さな事件でした。
誰もが「王政をひっくり返そう」「ギロチンで王族をみな殺しにしよう」と思っていたわけではありません。そのときの体制のままで「ちょっと自分たちの待遇も良くしてほしい」というぐらいだったのです。それはちょうど、たき火をしていたら、折からの強風と乾燥した空気で家に燃え移り、瞬く間に―つの町を焼き尽くす大火になってしまったというのに似ています。
そして大火になった後、振り返ってみると、「なんであんなところでたき火をしたのだろうか」「最初に家に火がついたときにもっと早く消火すれば良かった」「あいつがバケツの水を持ってくるのが遅かった」「風が強かったのだから町の人にもっと早く危険だと呼び掛けるべきだった」などと反省しきりになります。
冷静に考えると、フランス革命もあれほど多くの人たちをギロチンにかける必要があったのかは疑問です。
フランス革命は最後の段階でロベスピエールという過激な革命指導者が登場し、次々と政敵をギロチンで粛正して革命を完成させます。今考えると、ロベスピエールという人物の登場と、彼が行ったものすごい数の処刑は非難されるべきものですが、同時に、彼は「歴史が必要とした人間」でもあったのでしょう。
古いものを一掃し、新しい時代を拓くには、少し乱暴でも古いものを徹底的に破壊してしまう人が登場し、その後に真に新しい社会を作る段階に入るのです。





『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)

『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より R0720250816
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