私たち日本人の祖父母は、私たちよりずっとプライドも、思想も、行動力もしっかりしていた
フランス革命のときに、「白人の男性はみな平等」と言ったので、「それでは、王様と俺たちはどう違うのだ。なんで王様だけが良い生活をしているのだ？」という疑問が沸き、それが引き金となってヨーロッパの諸国は次々と民主化されていきました。
人間の集団というのは「頭脳で理解している」ことが優先しますから、「この世には殿様がいる」と思っていれば殿様が成立しますが、「この世はみな、同じ人間だ」と思えば、今度は殿様が追い出されるということになります。
人種差別も同じですし、男女の関係も同じです。男女は同じ権利を持つと思えば女性差別がなくなりますし、人間は人種によらないものだと思えば、そちらの方向に行くということです。
1919年というまだまだ世界全体が白人に押さえられているとき、有色人種の中で唯一、日本だけが独立していたという状況で、よく勇気を出して国際会議で「人種差別撤廃」を提案したものだと感心します。私たちの祖父母は、私たちよりずっとプライドも、思想も、行動力もしっかりしていたのだと思います。
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より R0720251006
