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日本を潰そうとする強大な勢力に、対抗するために、、、、

日本を戦争に導くための「おとり作戦 『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より

日本を戦争に導くための「おとり作戦」とその国際的背景

アメリカから厳しい要求が来るたびに日本の世論は熱し、「鬼畜米英(きちくぺいえい)」の雰囲気が醸成されていきました。
最後の仕上げは、日本が開戦をするきっかけを作ることです。日本とアメリカの間には広い太平洋がありますから、日本軍が太平洋を渡ってアメリカ本土を攻撃することはほとんど考えられません。
かといって、アラスカ、グアム、フィリピンなどのアメリカの占領地にはそれほど大きな軍事基地はなく、そこを攻めてもアメリカ軍に打撃を与えることはできないでしょう。
ということは、日本軍が奇襲をかけてくるとすると、ハワイのアメリカ海軍基地になることもアメリカが計算済みだったことは容易に想像できます。
そこで、アメリカ政府は本土の警戒を高める一方で、ハワイの海軍基地には情報を出さないようにします。
一方で、最新鋭の空母部隊が破壊されると戦う力を失いますので、戦争開始直前には空母部隊に出航命令を出してハワイから離れさせます。
さらにアメリカは日本軍の暗号解読を進め、日本軍が仏印(フランス領インドシナ)に進出した後、マレー半島のイギリス軍を攻めること、連合艦隊が千島方面からハワイに奇襲をかけることを知ります。
この頃、イギリスも日本との開戦に備えて、世界一を誇る大英帝国艦隊の旗艦、プリンス・オブ・ウェールズと最新鋭の戦艦レパルスをシンガポールの東洋艦隊に派遣します。
ABCD包囲網を敷き、日本に対する禁輸を行い、東洋艦隊を補強しているので、誰が見ても戦争は避けられない状況にあります。でもハワイだけはのんびりしていました。
それは「おとり作戦」であり、「日本に戦争を始めさせる」というのはアメリカ政府のそれまでのやり方であり、それは絶対の条件でした。
歴史的事実もそうなりました。世界中はおろか、当の日本までが「日本が戦争を始めた」と思ったのです。ネコがネズミを追い詰め、ひっかき、傷ついたネズミが最後の手段として捨て身で攻撃を仕掛けるように仕向けたのです。おそらく当時、中国共産党の毛沢東は日本の状態を見て、まんまと罠にかかっていくことにほくそ笑んでいたと思います。
アメリカの中枢部には後にコミンテルンのスパイということがわかる大物、ハリー・デクスター・ホワイト(戦後の自由貿易システムを作ったアメリカの高官で、後にスパイであることがばれて自殺)などから情報が入っていたと考えられますので、正確な情報をつかんでいたでしょう。
一方、ヨーロッパではナチス・ドイツが破竹の勢いでフランスを占領して、ビシー政権という愧儡政権を作り、ポーランド侵攻、イギリス爆撃などをし、さらにソ連に攻め込んでスターリングラードで激しい攻防戦をしていました。
日本はナチス・ドイツがソ連に勝つだろうと思っていましたが、同時に日ソ中立条約を結んで東からソ連を攻めることはしませんでした。もし日本がアメリカに対して戦線を開くことをせずに、ドイツと歩調を併せて満洲からシベリアとモンゴルに進軍したら、ソ連は崩壊したでしょう。
戦後の「東西対立(アメリカとソ連の厳しい対立)」を考えると、このとき、アメリカがとるべき政策は「日本にソ連を攻めさせること」だったかも知れません。でもアメリ力は戦争を始める口実として、日本憎しという人種的理由が主たるものでしたし、もし日本がソ連を攻めてソ連が崩壊したら、ドイツが力を付けてフランスやポーランドの占領を永久的なものにして、イギリスも危険にさらされるので、日本を応援することはで
きませんでした。
そうなると「白人の秩序」そのものが脅かされることから、白人の仲間ではあるが、まずドイツを滅ぽし、同時に日本を滅ぼすことで目的を達成しようとしたのです。





『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)

『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より R0720251103
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