戦争ばかりしていたヨーロッパ人と、ほとんどしなかった日本人
日本とイギリスに「小さな国が何個かできた時代」と「小さな国が統一された時代」とに分けると、日本が2000年前に「邪馬台国」などの複数の国ができ、1700年ほど前に奈良地方に大きな権力ができて(巨大な前方後円墳が作られている)、1500年前には「大和朝廷」というハッキリとした中央政権ができたと整理できます。
これに対して、イギリスは1500年ほど前に複数の小さな国があり、それが1100年前に統一されたという感じです。比較すると、日本のほうが1000年ぐらい古いということになります。ところが日本には、日本に住みながら日本を非難するのが好きな「反日日本人」が多くいて、その人たちから「イギリスも同じくらい古い」という反論が必ず出てくるので、さらに深く考えてみましょう。
実は、イギリスはアルフレッド王によって西暦900年に統一された後でも、「一つの国」とは言えないところがありました。それは、ヨーロッパ大陸とイギリスは民族が同じなので、イギリスと大陸の国は二体感クが強かったからです。その例を二つ示したいと思います。
―つはイギリスとフランスの間に起こった戦争の歴史です。この両国の戦争と言えば、「百年戦争」が有名ですが、それだけではありません。過去にイギリスとフランスが戦った「戦争」をまとめて見るとビックリされると思います。同じ国と長い間にわたって戦争をするということは、それだけある種の一体感(11 親近感)があるということです。
日本と朝鮮の間にもときどき戦争があり、日本が朝鮮を侵略したという人がいるのですが、世界はそれとは比較にならないほどダイナミックなのです。それは日本と朝鮮の間に、一体感(=親近感)がなかったからとも言えますが……。
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より R0720250807