幸福というのは相対的なもの
先ほど言いましたように、100年前に生まれていれば、男性は肉体労働で40歳を超えれば体はボロボロ。女性も6人から10人くらいの子供を産んで、もう40歳を超えればボロボロ。それで43歳の平均寿命で死ぬと……。こういうことが普通であれば、50歳とか60歳で命を落とす人でも「ああ、俺もよかったなぁ。50とか60まで生きて……」と思うでしょうね。
ところが、現在みたいに80までみんなが生きるものですから。まあ60歳で命が奪われる人は残念だというふうに思いますね。つまり幸福というのはもちろん相対的なものでもあるし、それから絶対的な運命ですね。人間に生まれ、日本に生まれた、この時代に生まれたという絶対的なポジションというものを忘れて幸福を論じることになりますと、幸福の中身が細かく細かくなっていくわけです。もういよいよ細かくなると、今日は家を出るときにちょっと靴を間違えたから、これは不幸であるとか、そんな桁違いの話になる可能性もあるんですよね。
『幸福とは何か』武田邦彦(武田邦彦先生音声ブログKindle版大島久幸氏編 より)(雲雀電子出版) 20250213