大東亜共同宣言
日本軍が解放したアジアの国に声をかけて開催までこぎつけた大東亜会議は1943年に開催されましたが、会議前日に天皇陛下が各国代表とお会いになり、会議の終了に合わせて「大東亜共同宣言」が全会一致で採択されています。
このときの宣言文は、フランスの人権宣言とならび、世界の歴史上、もっとも輝かしい文章の―つなので、少し難解ですが、原文のまま掲載したいと思います。
抑々世界各國ガ各其ノ所ヲ得相扶ケテ萬邦共榮ノ築ヲ偕ニスルハ世界平和確立ノ根本要義ナリ。然ルニ米英ハ自國ノ繁榮ノ為ニハ他國家他民族ヲ抑匪シ特二大東亜二封シテハ飽クナキ侵略搾取ヲ行ヒ大東亜隷罵化ノ野望ヲ退ウシ遂ニハ大東亜ノ安定ヲ根祗ヨリ覆サントセリ大東亜戦争ノ原因姦二存ス。大東亜各國ハ相提携シテ大東亜戦争ヲ完遂シ大東亜ヲ米英ノ栓桔ヨリ解放シテ其ノ自存自衛ヲ全ウシ左ノ綱領二基キ大東亜ヲ建設シ以テ世界平和ノ確立二寄輿センコトヲ期ス
一.大東亜各國ハ協同シテ大東亜ノ安定ヲ確保シ道義二基ク共存共榮ノ秩序ヲ建設ス
一.大東亜各國ハ相互二自主獨立ヲ尊重シ互助敦睦ノ賓ヲ畢ゲ大東亜ノ親和ヲ確立ス
一.大東亜各國ハ相互二其ノ偲統ヲ尊重シ各民族ノ創造性ヲ伸暢シ大東亜ノ文化ヲ昂揚ス
一.大東亜各國ハ互恵ノ下緊密二提携シ其ノ経済登展ヲ圃リ大東亜ノ繁榮ヲ増進ス
一.大東亜各國ハ萬邦トノ交誼ヲ篤ウシ人種的差別ヲ撤襄シ普ク文化ヲ交流シ進ンデ資源ヲ開放シ以テ世界ノ進運二貢猷ス
大切な文章なので、現代文で少し解説を加えておきたいと思います。まず、前文で、
1.世界が共存共栄を図ることが世界平和を築くために第一に大切なことである。
2.ところが、アメリカとイギリスが自分の繁栄のために他国を圧迫しているので戦争が起きる。
3.だから、アジアの国が協力してアメリカとイギリスを追い出せば苦しみから解放され、世界平和のもとを作ることができる。
という原理原則を述べています。
日本を除くアジアの国はアメリカとイギリスが不当な占領を止めればまずは平和になるということですが、それは戦後も続いています。アメリカと共産主義国家がなければ、戦後の戦争もほとんどなかったからです。戦後、すぐに起こった朝鮮戦争はアメリカと共産中国との戦い、その後のベトナム戦争(アメリカとベトコンと言われたベトナム共産党政府)、アフガニスタン紛争、イラク戦争など、すべてはアメリカが関与しています。
近年ではパリの銃撃事件などのテロが頻発していますが、これも第一次世界大戦が終わってオスマン・トルコが崩壊したときに、人種差別を止め、中東を中東の人々に任せれば良かったのに、せっかく独立したイラク、シリアをイギリスとフランスが出て行って占領したのがその後の中東の混乱の火種となっています。
イギリスとフランスは自分たちが白人であり、白人が有色人種(といってもトルコ、シリア、イラクは民族的にはイギリス人、フランス人のもとになっているアーリア人の血もかなり入っています)を自由にして良い、暴力の強いものが弱いものを自由にして良いという思想で中東を分割したり、歴史的に名高いウソの条約(サイクス・ピコ協定)を結んだりしたのです。
つまり、大東亜共同宣言の前文だけでも守られていたら、戦後の多くの戦争も、現在の中東の混乱も生じなかったという点ではこの思想は歴史的にも正しかったのです。
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より R07202511010