
主人公・三四郎は近代日本の暗喩
第1章で主人公の三四郎は、未熟な近代国家「日本」の暗喩であり、九州の古い封建社会(前近代の暗喩)から、東京(近代国際社会の暗喩) に移動していくことを示している。
つまり、この第1章で三四郎が九州から汽車で東京へ移動していく姿は、日本が古い封建国家から、国際的な近代国家に発展していく姿を映しており、その途上で、三四郎(近代日本)がさまざまな人間(国家)と遭遇し、色々な知識を吸収したり、出米事を体験し、また新しい思想にも触れていくことを賠ホしていると言える。
広田先生(漱石) の「亡びる」という重大な警告について、漱石は当局の言論統制を意識し、広田先生はさりげなくにやにやと笑いながら哲学の煙を吐いていると煙幕を張った。この煙幕によって、当局の監視から逃れた。
『気楽に楽しむ漱石入門「三四郎」』武田邦彦 (文芸社刊 2016年)より R0720250405