リットン調査団の報告書
リットン調査団が調査に来たとき、日本は第一次世界大戦でドイツを破り、パリの講和会議で「人種差別撤廃」を提案するという、白人にとっては「厳重に注意しておくべき国家」でした。ともかく、パリでの日本の提案は廃案にしましたが、有色人種同士が属国を持つという「満洲国」については、白人がまだ「植民地の利権」を手放すことはできない中での国際的処理という難しい課題だったのです。
そこで、最終的には当時の白人の秩序の中では、考えに考え抜いた素晴らしい案を作ったのです。
1．単純な軍事的事件（満洲国の建設に関しては、張作採爆殺事件とか柳条湖事件など）
から軍事的に発展している国が武力で他の国を支配したり、領土をとることは許されない。
2．だから日本の満洲国建設は認められない。
3．しかし、白人の植民地の多くは軍事的なきっかけを作って占領しているので、正面から日本の行為を否定することはできない。
4．日本は有色人種の国だけれど、力も強く欧米の文化、技術を取り入れているので、「白人の仲間」に入れても良い。
5．そこで、形式的には満洲国を国際連盟の管理に置くけれど、実質的には日本の管理下において日本の権益は守り、満洲国も承認する。
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より R0720251014
