「大航海時代」という名の「大侵略時代」
大航海時代のヨーロッパでは最初にスペイン、ポルトガルが船を使って世界中の侵略を始めました。
ポルトガルは主としてアフリカの西海岸伝いに南下し、アフリカの最南端にある喜望峰をまわってインドに到達しました。世に有名なヴァスコ・ダ・ガマの「インド航路発見」です。もちろんこの「発見」というのはヨーロッパ人から見た発見であり、この地域にはもともと人が住んでいましたし、古くはフェニキア人が喜望峰を回っていたという記録もあり、イスラムの人はインド洋の西は勢力範囲だったのです。
また、スペインはクルストファー・コロンブスの「アメリカ大陸発見」(これもヨーロッパ人から見た発見で、アメリカには当時、すでに立派な国がいくつもあった)から始まって、メキシコではマャ文明を滅ぼし、アステカ王国の兵士や抵抗する者を全滅させました。
続いて、南アメリカにスペイン人フランシスコ・ピサロが侵攻して、インカ帝国を滅亡させ、ここでもほぼすべてのインカ人を殺害しました。
このスペインによるアメリカ大陸の人たちの虐殺は、後のアメリカ人(移民したイギリス人)によるアメリカン・インディアンの虐殺(600万人とも言われる)に匹敵するアーリア人の残虐性を物語っています。
日本の学校で教える歴史で、北アメリカでのインディアンの虐殺、中央アメリカと南アメリカのアステカ、インカ帝国での虐殺、アメリカ合衆国によるアフリカからの黒人奴隷の虐殺、イギリスによるオーストラリアのアボリジニー(オーストラリア大陸の先住民)などの虐殺を教えないのは、これもヨーロッパ史観によっているからです。
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より R0720250824