◎ 「サーマルリサイクル」という名の根拠なき詐欺まがいの言葉
私は日本人の誠実さを大切にしていますので、こんなダマシの用語は全く受け入れられません。何しろヨーロッパでもダマシだから止めようとなった用語を、誠実さを大切にする日本で使っているのです。
こんなトリックのような言い方が使われるのは、どうせリサイクルはうまくいかないから、焼却してもリサイクルとしよう、どうせ日本人はヨーロッパのことなど関心がないからバレないだろうと、国民を甘くみて、事実、それが成功したのです。
よくよく考えてください。法律を作るときに、すでに焼却をリサイクルに入れていたということ自体、専門家がリサイクルをどのように考えているかをよく示しています。
また、実施することにやましいことがあったり、都合が悪かったりすると子供を動員するなどして、人の感情に訴えたりします。
そこで登場したのは「ゴミを分別すれば資源」という言葉や、小学校で盛んにリサイクルをさせるということでした。
でも、リサイクルを始めても、リサイクル率というのはさっぱり公表されません。それは簡単な原理がありました。たとえば、「その自治体の人が使ったペットボトルの量や捨てたペットボトルの数」がわからないので、じゅうふを計算することができなかったのです。今でも、自治体は「自分たちのところに住む人が、どのぐらいのペットボトルを捨てているか」というのを知ろうとしません。それがわかると「リサイクル率が低い」というのがわかり、税金を投入するのに批判が出るからです。
それではどうして自治体は、回収率とかリサイクル率というのを示していたのでしょうか? それは市民をだますためにさらに細工をしたのです。
普通の感覚では、廃棄されたペットボトルが100本で、そのうち30本を自治体が回収し、10本をリサイクルすると、回収率が30%、リサイクル率が10%となります。小学生の算数でもそのように答えないと間違いになるでしょう。
ところが、
ペットボトルのリサイクルでは、回収率は常にほとんど100%でリサイクル率は60%ぐらいの数字が発表されていました。
それは、市民が廃棄したペットボトルの量がわからないので、分母を「自治体に持ち込まれた量」で、分子を「業者に渡した量」として計算し、それをリサイクル率として発表していたのです。まさにサギでした。
つまり、次のようになります。
ある自治体でペットボトルが100本リサイクルとして回収され、その100本のうち、40本をゴミに回して60本をリサイクル業者に渡すと、分母が100、分子が60なのでリサイクル率60%と言っていたのです。
私が調査をすると、平均的に100本のペットボトルを消費すると、60本程度が自治体に回収され、そのうち30本ぐらいが業者に行くのですが、実際にリサイクルを行っているのは6本ぐらいにしかならないのです。
つまり本当のリサイクル率が6%なのに、それを60%と言っていたのですから、すごいものです。
どうしてそんなことをしたのでしょうか? それはリサイクルに市民の税金を5000億円も使っているからです。
リサイクルの税金を取っていて、多くを燃やしたり中国に出したりしているのがわかったら税金を取ることができず、それで「業者が困る」からです。
もし、自治体が税金を払う市民の方を向いていたら、最初から「リサイクルを始めたけれど、うまくいかない」と正直に言っていたでしょう。
家庭で行う正しいエコ生活』武田邦彦 平成21(2009)年 講談社刊より 20260215
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