戦前日本の領土政策と国際認識:台湾・朝鮮・満洲をめぐる歴史的再評価
白人の秩序の中で日本が国際的に一流国であるためには、リットン調査団の報告は日本にとってほぼ最善のものでした。
もし、この報告書を日本が受諾していたら、支那は混乱して成長が遅れ、一方、日本は本土、千島、樺太、台湾、朝鮮、満洲国を支配する国、つまり現在の中国とほぼ匹敵する「東アジア海洋国家」を建設できたでしょう。
特に、満洲国はすでに五族が共栄するという世界でも珍しい社会システムを作るのに成功していましたから、朝鮮と満洲が五族で構成され、樺太から台湾までが日本民族が住む海洋国家になっていた可能性が高いのです。
今では、台湾には支那人(現在、台湾人)が住んでいますが、それは日本が戦争に負けた後、支那での戦いに負けた蒋介石をトップとする中華民国の人たちが逃げてきたからで、当時はもともと台湾に住んでいた人たちが少しいましたが、ハッキリとした日本領土でした。
「日本が朝鮮を占領する」というのは理論的には反論があり得ます。それは朝鮮には朝鮮人が多数住んでいて、しかも歴史的に長く「国」があり、日本が占領した当時も「李氏朝鮮」という国の支配を受けていたからです。
しかし、台湾は「部族」があり、少数の人が住んでいただけなので、日本が台湾を占領したときにはまだ「国」ではなかったのです。台湾には清王朝が派遣した軍隊が少数いましたが、清王朝は台湾を「化外地」と呼び、「国土ではない」という認識でした。
日本が台湾を占領した後、台湾にしっかりした統治機構を置き、帝国大学を作り、ほぼ日本本土と同じ「国」を作りました。このような経過を考えると、大東亜戦争に負けた日本が台湾を放棄したのは仕方がないのですが、それを支那人がとる権利があったかどうかはハッキリしません。
でも、現在ではすでに台湾には支那人が膨大な数住んでいますし、しかも親日なので、取り立てて「台湾を返せ」とまでいう必要がないというだけです。
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より R0720251015