「満洲事変コンプレックス」を捨てよ
繰り返しになりますが、多くの日本人が「満洲国の建国は悪いことだった」と思っているので、もう一度、整理をしてみます。
日本はリットン調査団の報告書を読み誤ったのですが、その原因は驚くべきことに「白人側」にあったのではなく、「日本側」のコンプレックスや先入観にあり、それをマスコミや知識人が日本の世論にしてしまったことです。
日本人は歴史的に他国に出て行ったことがないので、他国の土地をとることは「やってはいけないこと」と思っていました。だから朝鮮と台湾を併合しても「日本本土と同じくしなければならない。そこに住んでいる人は日本人より少し劣るかも知れないが、同じ人間なのだから、原則として取り扱いは同じにする」と考えました。
つまり、白人とは考え方がまったく違っていたのです。白人は「黄色人種や黒人は自分たちと同じ人間ではない」と考えていましたので、収奪したり、奴隷にすることに良心の呵責(かしゃく)というものを感じなかったのです。
それは現在でも同じで、しかもアジアの中でも日本人だけに見られる特徴と言えます。
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より R0720251018