
◎ そのわけ
使い終わったペットボトルをリサイクル箱に戻しても、実際にはリサイクルされていません。税金を500億円も取られているだけで、環境には関係ないどころか、ペットボトルは次の理由で、環境を汚すのです。
まず第一に、リサイクルをする前と比べて、ペットボトルの消費量は、実に4倍にもなったのです。
なにしろ、市民で「リサイクルしている」と言っても、本当にリサイクルしている人はいません。ただ、ゴミ箱の横にある「リサイクル箱」に入れるだけです。でも、不思議なことに、ゴミ箱に入れると「環境に関心がない」と言われ、隣のリサイクル箱に入れると「俺は偉いんだ!」と思うのですから、今の大人は幼稚になったものです。
その結果、ペットボトルのリサイクルという制度は、「リサイクルをすることによって大量生産、大最消喪を招く」ということになり、それは歴史的事実として証明されたのです。誠意のある人なら、これ以上、ペットボトルのリサイクルに手を染めてはいけません。
また、「私はペットボトルをリサイクルしている」などと言ってはバカにされます。
おまけに、お金のことでは、自治体は回収したペットボトルにキログラムあたり400円(全部、税金)をかけているのに、それを中国には50円で、国内業者には30円で売っています(値段は石油が高騰する前の調査結果です) 。お役所は、税金をもらいなれているので、「税金はゼロ」という考えですから、400円で仕入れたものを30円から50円で売って、「50円儲けたとか、30円の収入があった」と言っているのです。でも、納税者としてはたまりません。
リサイクル運動をしている人は、税金をもらっている自治体の人か、これも税金で安くリサイクル・ペットボトルを手に入れている業者のご関係でしょうから近づかない方が良いでしょう。
第二に、1本のペットボトルをリサイクルすると、新しく石油から作る時の3倍以上も石油を使っています。だから、リサイクルする代わりに石油からペットボトルを作れば3本できます。石油の浪費を止めようと思う人は、ベットボトルのリサイクルを止めてください。
『家庭で行う正しいエコ生活』武田邦彦 平成21(2009)年 講談社刊より 20251130
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