第2章 検証編② 「健康」を害する新聞・テレビの脅迫的なニセ情報
血圧、タバコ、コレステロールについて
血圧 人々の健康を害してきた“高血圧問題”
前章で検証したダイオキシンの問題は、ほぼ 無毒のものを「史上最強の毒物」というようなキャッチコピーをつけ、多くの国民を不安に陥れたということは非常に大きな罪であると私は思います。
しかしそれよりももっと奥深く、きちんと考えなければならない問題があります。それらはやはり健康上の問題で、その一つが「血圧」です。
ダイオキシン騒動では、テレビ 朝日を中心としたマスメディアがウソを国民にばらまいたのですが、それでも期間として約5年くらいのことでした。
しかし血圧の問題は、それよりも遥かに長い期間にわたって日本人を蝙し続け、時には健康被害をもたらしてきたわけですから、その意味ではダイオキシンよりも悪質です。
悪質なのですが、血圧の問題に関わってきた人たちの中には、それが日本人の健康につながると信じる「善意の人」もいたはずです。「塩を摂ると血圧が上がる」という間違ったことを言ってきた人たちは、ダイオキシンのときのように必ずしも「自分が儲けよう」と思っていたとは言えないところもあるのです。ですからその点は慎重に考えなければいけません。
血圧の問題について考えるとき、まず知っておかなければいけないのは「血圧は年齢とともに少しずつ上がっていく」のであり、それが「人間というものの年齢的な変化にもとづく、合理的な変化」であるということです。
赤ちゃんの肌などをみればすぐにわかるのですが、若いころは皮膚も体組織も非常に柔らかいので、心臓が圧力をかけて全身に血を送ろうとすると血管がプクっと膨らみます。そうすると血管が太いチューブになりますから、圧力はそれほど高くなりません。
ところが、年を取ると血管が硬くなってきて、心臓が血液を送ろうと思ってもそれに応じて膨らんでくれなくなります。50歳ぐらいまでは少しずつ硬くなっていくので、普通は20歳ごろの血圧が120ぐらいだった人が50歳ぐらいになると130とか140とかそのくらいになるわけです。
ですから多くの病気でない人たちの血圧は、だいたい120~140くらいになります。
この血圧が「高くなると寿命が短くなる」ということで「血圧を上げてはいけません」と指導されるようになりました。現在では「血圧180なんてとんでもない」「160でも高い」「140とか130以下にしなさい」などと言われます。
しかし、これは極めて無責任な医療政策であり、そこに金儲けを企んで日本の指導的な医師が絡んできました。
その一方で、誠意のある医師や健康に注意する人たちまで間違った認識を持つようになったという複雑な構造がみられます。
『フェイクニュースを見破る 武器としての理系思考』武田邦彦 (ビジネス社刊) R060605 P098