汚いものは生活空間から遠ざけておく
そして、「適当な状態」というのは人間が考えても達成できません。「昔からの生活に」近づけることです。つまり、「生ゴミは早く焼いて、衛生的に」ぐらいがちょうどよいのです。
もし、日常生活で殺菌剤などを使い、「無茜状態」のような生活をしていると、いったん、鳥インフルエンザのような強い流行性を持つウイルスなどが出てきたら、ひとたまりもなく、家族全員討ち死にということにもなりかねません。
自然の治癒力を活かすには、昔の人の言い伝えを守ることです。それは簡単なことで「汚いものは生活空間から遠ざけておく」ぐらいです。
でも、慎重にやれば「キレイな生ゴミ」は庭の堆肥ぐらいには使えます。
「慎重に」とは、第一に自分の家の生ゴミだけを使うことです。私はかつて家庭の生ゴミは本当にリサイクルできるのかという調査をしたことがあります。
そんな調査をする気持ちになったのは、リサイクル王国のドイツやデンマークでも家庭の生ゴミをそのままリサイクルしているところは少なく、養鶏場や外食チェーンなど大量に食品のあまりが出るところだけしかリサイクルはしていなかったからです。
調査をしてみると、家庭から出てくる生ゴミには実にさまざまなものが入っていることがわかりました。プラスチックのスプーンや割り箸、ラーメンの調味料を入れた袋などは普通に入っているのですが、なぜか電池や電線などもあるのです。それに蛍光灯の割れたものにはビックリしました。蛍光灯は水銀と鉛を使っていますから、それに電池などがあると、水銀、鉛、カドミウムなど毒物のオンパレードなのです。
そして、怖いのは、ガラスや鉛などは腐らないのでいつまでもそのままですし、植物の栄養にも何にもなりませんから、畑にたまります。
『家庭で行う正しいエコ生活』武田邦彦 平成21(2009)年 講談社刊より 20251214
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