3)命と幸福の関係
命が全うされれば、つまり天寿が全うされれば、それは幸福である、つまり幸福と天寿がほとんどイコールではないか。したがって、ここではタイトルで「命と幸福」とつけたわけです。 では、動物の命は何で決まるかでありますが、 第一には経験数の原則、例えばねずみと象を考えますと骨も皮も筋肉もほとんど同じくできております。それから免疫も象が極めて優れているというわけではありません。ただ、体が小さい動物は早く死に、体の大きい動物は長く生きるんですけれども、これは、一つ一つの行為が体の小さな動物はすぐ素早く動き、体の大きな動物はゆっくり動くので、その比率で命が決まっております。 つまり、生涯の時間を一定にしますと、小さい動物に有利になってしまうので、小さい動物も大きい動物も人生において同じ経験をするように設定されている。その経験が来たら、ネズミはまだ新品の命なのに命を落としてしまう死のスイッチが入るというわけですね。
第二原則は命そのものでありまして、命というのは、哺乳動物の場合、すでに有性生殖生物ですから結婚することが非常に重要で、自分一人の命は、ネズミであれば一年で、象であれば20年で尽きてしまうんですけれども、まぁセックスさえすれば子供に命が伝わりますので、その命は親から子から孫へと1万年も続くわけですね。 したがって、動物は自分の命を投げ出して子どもの命を救うということをするわけです。 私がいつも例に挙げるのは鮭ですけれども鮭は産卵期に川を登り始め、上流で伴侶を見つけてセックスをしますね。そして受精がうまくいったら、その時点でまだ元気なオスもメスも死のスイッチが入って、すぐ死んでしまいます。やがてその肉が崩れ分解し川に漂い、生まれた稚魚はその親の肉を食べながら川を下っていくわけです。それ以外に95%くらいそうだと言われておりますが、その親がそのときに死ななかった鮭は川を下り途中で餓死すると。これも連帯して寿命を守るということですね。
『幸福とは何か』武田邦彦(武田邦彦先生音声ブログKindle版大島久幸氏編 より)(雲雀電子出版) 20250127