◎理科系の時代を期待
日下: いや、それほど心配することはありません。不況で就職難になれば理科系の時代が戻ってくるでしょう。実際にもうそうなっているし、あるいは、自然にそうなっていきますよということ。
たとえば、道徳過剰で勉強不足の新聞は部数がどんどん減っていって、もうじき潰れますから国民の方がよっぽど賢い。だから、武田先生が心配なさっていることは、国民自身が気がついている。
武田: たしかにそうかもしれません。さきほどと少し矛盾したことを言いますが、中国というのは技術ができないから、その点では安心しているんです。日本人が提供しなければ彼らにはできない。中国人には、まった<技術をつくるというセンスがない。私の研究室では中国の留学生は原則として引き受けないのですが、大学全体では、中国の留学生を随分引き受けています。でも、彼らの様子を見ていると、彼らは技術はつくれないと思います。
彼らは資金はあるのですが、自分の技術では工場はつくれない。だから彼らが日本を抜いて新しい工場をつくることはない。ただし、マネジメントはできるので、日本の工場を真似るということはできます。中国が整然とした工場をドーンとつくっても、技術はすべて日本ということは、将来も変わらないと思います。
だから、技術自体についてはあまり心配していません。しかし、物量でやられると、資源は向こうだから、日本の技術がダメになってしまう。
日本の技術を中国に出さない。そして、資源などは、向こうからどんどん取ってくる。
日下: 賛成。中国は匪界最初に火薬をつくったとか、紙や磁器をと言いますが、それらの技術はすべて古代なんです。その後は、いまでいう技術は進歩していない。
古代というのは戦国時代で実力と実力で戦争ばかりしていたときには、中国でも技術進歩があって、ヨーロッパの上をいっていた。しかしその後帝王という絶対的独裁者が出てから、国民にはモチベーションがなくなった。しかも中国は、技術独占のために職人を殺してしまう。そんなことばかりしていて、共存共栄がない。
そこで中国で発達したのは、工芸品で、すばらしいものはすべて皇帝への献上品なんですね。凝りに凝った工芸品だが、役に立つものはない。それから土木・建築の技術もあるが、奴隷制が前提の技術が多い。もしかしたら、日本人を奴隷と思っているかも知れない。
そういうことだから、日本が技術の供給を止めたら終わりです。
『作られた環境問題』NHKの環境報道に騙されるな! 武田邦彦・日下公人 (WAC 文庫 平成21年発行)より
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