◎企業にも言い分がある
日下: じゃあ、ちょっと過去の方からお話ししましょう。
トヨタにもいい面がある。トヨタとしては、「国から言われたとおりに税金を払ったじゃないか」という言い分がある。
「その税金をきちんと使えば、国は何とかできるのではないか。失業給付金などで何とかできたはずだ。これまでトヨタが払ってきた税金はどこに使われたのか、もっと立派な使い道があったはずだ」と。
また、トヨタの払ってきた税金で、「次の商売に役立つ立派な日本人を育成できただろう」と思う。しかし文部省は次の商売に役立つ教育をしていない。「それをちゃんと見通す目がないのなら、そもそも、税金をとるな」と思う。
つまり、次の国民を立派につくつてみせるというから税金を払ってきたことを、ここで見直さなければいけない。
トヨタの人は本当にそんなことを言っていますよ。もっと大きな声で言えばいいのに、遠慮している(笑)。
そこで思い出す場面がある。昔、「外部経済」と「内部経済」という用語が流行したことがあった。
企業が内部経済をしっかりやると外部に不経済が出る。外部不経済とは、公害などのように、外に対して悪いことをすることで、国家は権力をもってそれをチェックするか、税金をとって始末するかで、どちらでもいいからそれをまじめにやらなければいけない。が、それをきちんとやっていない。つまり、国家は、外部不経済をきちんと処理できていない。
企業のほうは、その与えられた条件の中で内部経済を一生懸命よくしようとするのは当然のことだ。すると、企業は中国に行ってしまうということになる。国内の失業に文旬を言うなら、外交とか貿易とか税金などで、何とかするのが国家の仕事だったはずだ。企業としては、水が流れるように流れているだけで、素早く有為転変して、右に行ったり、左に行ったりするのがいい経営ということになる(笑)。経済学から言えばそう言える。
そして自動車産業はここまで巨大化してきた。しかしいま、ようやく「新車は買わない、即免許はいらない」という時代が来たが、それでも、トヨタなどはサブプライムローン問題が起こる寸前までは史上最大の売り上げを記録してきた。そしてこの間、技術進歩で自動車の値段は高くならなかったから、感心だ。鉛ガスも出さないし。
武田: そう、それは大したものですよね。
『作られた環境問題』NHKの環境報道に騙されるな! 武田邦彦・日下公人 (WAC 文庫 平成21年発行)より
R070111 P164