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yymm77

日本を潰そうとする強大な勢力に、対抗するために、、、、

◎人の心の予測は一番むすかしい

◎人の心の予測は一番むすかしい

日下: 以前、「未来研究」という雑誌を出そうという話が来て、このときも私は巻頭言を一年間書いたことがある。そのとき書きながら心の中でブツブツ思ったことは「未来は結局、わからない。予測ははずれるよ」ということ。
社会の未来予測で一番確かなことは将来人口の年齢別構成。今年、生まれた赤ん坊が二十年後に二十歳になるのであって、二十歳の人が突然現れることはない。これが一番確かな予測で、アメリカでも未来予想はそこからはじめる。

武田: 何年後には、「人口がこうなって、人口分布がこうなる。購買はこうなる」というわけですね。

日下: はい。アメリカの場合は、あとは移民の分をちょっと足す。日本は移民の出入りがないのだから、こんな楽なことはない。
が、それでもあやしくなってしまう。戦争や流行病はないと仮定しても技術や都市の規模が変わる。それから、一人当たり生産性とか一人当たり教育率とか一人当たり医療費などと、いろんな加工をやっていくと、だんだん不確かになってくる。また、浪費しないで資本の蓄積をするかどうかは国民の気持ち次第です。また技術進歩の方向が分らない。
一番の問題は、「将来の人が何を求めるか」ということ。今の私たちの欲求は分っているが、子供たちの欲求や選択は分らない。たとえば、「自動車でぶっ飛ばすなんてことはもう流行らないのではないか」と私が言うと、昔は「そんなことはない」と言う。
私は免許を取れる年齢になったときすぐに免許をとって、バイク、自動車と運転してきたから、ドライブの楽しみはよく知っている。あのころは本当にうれしかった。しかし、だんだんつまらなくなってきた。それは警察の取り締まりがどんどん厳しくなってきたからで、これからはますますうるさくなるのだから、ドライブの楽しみはますますなくなるだろう。
そうなれば若者は自動車免許をとらなくなる。そのとき、たとえば北海道は道州制による自治権を使って交通取り締まりは廃止ということにしたら、ドライブ好きは北海道へ行って自動車に乗る。トヨタ自動車はトヨタ北海道という自動車会社になる。
つまり、ドライブはスキーのようなレジャーになって日常の移動は新幹線と市電や小型の電気自動車になる……。こういうのは、それほど飛躍していない機械的な予測ですが、人々の実感がついてこないから、あまり相手にされない。でも、ひそかに「三十年もたてば当たるぞ」と思っていた。自動車はいつか飽和するんだから、これは簡単な予測(笑)だ。
そうは言っても、計算はしたんですよ。このままいくと、一家でクルマを二台持つようになる。駐車場面積をかけると東京都内では持てない。駐車場がない。それから、日曜日に一斉にドライブに行くと道路がいっぱいになってしまう。
となると、ドライブにも行けない自動車をなぜ人が買うのかとなる。しかし、みんなが求めているならそのための道路をつくるだろう。日曜ドライブしか使い道のない道路を何兆円もかけてつくることになる。
すると、東京でも一家に一台の駐車場になる。浅草あたりの商店街では、夜になると、みんな一階に自動車が突っ込んである。人は二階に住む。当時、そろそろそうなりかけていた。
いま、日本ではもう自動車は飽和状態になってきている。だから、自動車会社は、国内需要よりも、輸出に頼るしかない。その輸出がサブプライムローン問題以後はガクンと落ちたのだから、自動車会社の売上が落ちるのは当然で、いまだに毎年売上を上げていこうという計画を立てること自体が無茶ということになる。
そういうふうにある程度予測できることもあるが、そんなことをしていても、結局、未来はどうせわからない。その日暮らしという人生観が強くなれば、職業観、進歩観、技術観が変わるが、もともと世界中は九九%がその日暮らし。それも一万年も前からそうだと思うと、人々が予測を求めるようになるのは先進国の特徴で、それは社会全体に貯蓄が過
剰になって、金利がほとんどゼロになるからではないか。カネの使い道探しが個人でも政府でも盛んになって、それが長期計画の時代になる。
使い道は個人であれば子供の教育費、政府であれば長大橋の建設とか月までエスカレーターをつけるとかだが、こんな金あまりがなくなれば、人々の気持ちはその日暮らしに戻って、そのときは環境汚染問題も変わるでしょう。
たとえば、田舎に住もうとか、自動車には乗らなければよいとか、冷凍食品はやめようとか、病院行きは七十五歳までにしようとか、別の解決を考えるようになる。自然保護も身の回りの小自然保護に気持ちが移る。小鳥、小虫、小枝が可愛くなる。
人の心の予測は一番むずかしいですね。

『作られた環境問題』NHKの環境報道に騙されるな! 武田邦彦・日下公人 (WAC 文庫 平成21年発行)より
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