◎ちょっとルーズな社会のほうがいい
武田: 私もそこは日下さんの考え方に非常に似ているんです。
人間は自分の世代を背景にしてしか考えられない。われわれは「成長しなければいけない」などというのは、いままでわれわれが受けてきた教育をそのまま言っているだけに過ぎない。本当に成長しなければいけないのかどうかは、わからない。
こそこでちょっと違う意味でいえば、われわれが押し付けた、言わばストラクチャー(枠組み)で、社会をあまりにも固定してしまうと、次の人たちがつくっていく社会ができにくくなる。私はそういうことを心配しています。
たとえば「国がこうやる」「経済システムはこうだ」などと、われわれが持っているもので社会をガチッとつくってしまうのは、後で壊すのも大変だし、損害が大きいので、それはやめて、もう少し自由にして、われわれの規律みたいなものをあまり強く出さないようにした方がいいんだろうと。
これも何か、歴史的なことがあって、いまみたいに非常にガチガチした家畜化というか、国民総家畜化みたいなことをあまりにやりすぎると……。
日下: 管理社会ね。
武田: 管理社会ですね。「ウエスト八十五センチ以上はメタボで病気になるから、痩せろ」「後部座席もシートベルトをかけろ」「たばこをどこで吸っちゃいけない」というふうにガチガチにやる。何でも縛ろうとしていますね。
昔のことを言って、「昔の方がよかった」などと言うのはよくないのですが、昔の方がちょっとルーズだったのではないかという気がするんですよね。
日下: 人間の知性はまだ完成していないから、最終結論めいたことを言うのはやめて、ルーズさを残しておくのがいいんですよね。
武田: ルーズさがあったから、それぞれの世代、世代の人が社会をつくってきた。ルーズさの最大のことは、戦争に負けたことによってもたらされた。それまでの偉い人はみんないなくなって、松下幸之助とか本田宗一郎が出てきた。
しかし、いったんそういう人たちが出てくると、あとがダメになる。だから、もう一回リセットする必要がある。リセットできないのならば、たまに外からサブプライム問題<らいで揺すってもらう(笑)。能力があれば、内部で壊せますが、能力がなければ、内部では壊せませんものね。
『作られた環境問題』NHKの環境報道に騙されるな! 武田邦彦・日下公人 (WAC 文庫 平成21年発行)より
R070107 P155