◎ ちょっと本格的な話
世界には森林が多い国と、森林に恵まれない国があります。日本は先進国の中では森林に恵まれた国のビッグスリーの一つです。もっとも多いのがフィンランドで、国土面積に占める森林の割合は74%、第二位が日本で68%、そして第三位にこれも森林産業で世界一のスウェーデンで67%です。中国とインドは国土面積は大きいのですが、それほど森林は豊富ではなく、国土全体のうち、中国が21%、インドは23%が森林です。
それでは、森林利用率が90%近い北欧の国は、そんなに森林を伐採して、森林が破壊されないのはなぜでしょうか? 多くの日本人は森林を伐採すると森林が破壊されると信じていますが、それは間違いなのです。
森林利用率とは「その年の森林の生長量」を分母にして、「その年に伐採した量」を分子にして割り算をした数です。無生物なら成長しませんが、生物は成長します。樹木は太陽の光と空気中のCOを吸収して生長します。ですから、森林利用率とは「生長した分のどれぐらいを伐採するか」という数字ですから、「森林利用率100%」というのは、その年に伸びた分だけ切ったということで、森林は増えも減りもしないということです。
『家庭で行う正しいエコ生活』武田邦彦 平成21(2009)年 講談社刊より 20251210
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