◎いま、日本人は変わらなくてもいい幸せをもっている
日下: たまたま夜中の三時ごろ、テレビを見ていたら、なぜ、オリンピックで日本の野球が韓国に負けたのかを延々とやっていた。韓国の野球選手たちは何が何でも日本に勝とうと思ってやっていた。そのためには「自分を変化させよう」と思っていたので、何もかもあっという間に変化させたという。
どう変えたかといえば、オリンピックのスタンダードと韓国のプロ野球のスタンダードがいろいろなところで違っていたのを、すべてオリンピック仕様に変えた。たとえば、それまではマウンドが高すぎたのですぐに下げた。小さいボールを使っていたので、それもグローバルスタンダードに変えた。その他いろいろと国際野球にすぐに変身した。
それから、韓国では、兵役に行かなければいけない。十九歳から二十八歳までの十年間の間のどこかで二年間兵隊に行かなければいけないが、あのとき、銅でもいいから、メダルをとれば、チーム全員を兵役免除にすると決めた。それは必死になる(笑)。だから、チームメートはお互い助け合うわけ。
そのように、韓国人は変わろうと思ってやっていた。ところが、日本人は何も変わらなくてよいと思いながらやっていた。変わりたくない。「適当にやって、また帰ればいい」という日本選手ばかりだったから、負けるのも無理はないと。
だから、いま、日本人は変わらなくてもいいという幸せをもっている。そこまで幸せをつくっちゃった。だから、生まれてきた子供は張り合いがないんでしょうね、きっと(笑)。
武田: 学生が勉強するはずがないんですよ。それを、大人たちは「勉強しなければいけない」と言う。「このごろの学生は勉強しない」などと言っている方がおかしいんです。
いまの大人が「自分たちは勉強した」というのは、それは、その世代の人たちが、いろいろな意味でハングリーだったからでしょう。昔は、「出世したい」「勉強したい」というのはいくらでもあったけれど、いまは無理やり概念的につくっているだけですからね。
ですから、若い人たちは、大人たちとは当然違う。彼らが、自分たちの概念で、そういうのをつくっていくまでは、ちょっと待たなければいけないとは思うんですよね。
『作られた環境問題』NHKの環境報道に騙されるな! 武田邦彦・日下公人 (WAC 文庫 平成21年発行)より
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