テレビ番組
あるテレビ番組で、ジャニーズの若いタレントと対談をしました。そのときにこんな話になったのです(テレビで話した台詞(せりふ)そのものではありませんが、筋は違っていません)
武田 :そうですか、若いのに偉いですね。
タレント : もちろん!マイバッグを使っていますよ。
武田 :えっ! レジ袋をもらわないのですか?
タレント :もちろん!断っています。
武田 :なるほど。そうするとゴミを捨てるときには、魚の骨とか、野菜の残りなんかもそのままで
ゴミ置き場においている?
タレント :えつ! そんなことないですよ。ちゃんとゴミ袋にいれて。
武田 :じゃ、レジ袋と同じじゃないですか。レジ袋をもらっていたときには、レジ袋でゴミを出していたんでしよ?
タレント :で又え、まあ‥‥‥
武田 :レジ袋だったら、買い物⇒汚いものを入れる⇒ゴミ袋、と3回使えるのに、わざわざ、マイバッグとポリ袋と、そしてゴミ袋を買っているんですか?
タレント :(ブツブツ)
この会話では若いタレントさんが、「レジ袋と専用のゴミ袋は同じ石油からできている材料である」ということをご存じでしたので、すぐに納得しました。でも、主婦の中には自治体が「レジ袋で出してはいけない」というのを真面目に受け取って、レジ袋は石油から作るけれど、ゴミ袋は石油からできるものではないと錯覚していますが、もちろん両方とも石油からできた同じポリエチレンというものです。このように、みなさんが錯覚してしまうのは、仕方がないことです。レジ袋を追放すると、余計に石油を使う事になるのを十分に知っているマスメディア、自治体、専門家が一致して正反対のことを言っているのですから。真面目な人達をだますのは感心できませんね。
◎ どうしたらよいのか
ス— パーでもらう「レジ袋」の表面に「専用ゴミ袋」と印刷してもらえばすべて解決します。もともとレジ袋と専用ゴミ袋は、その成分も形も全く同じですから。
◎ エピソード
レジ袋追放の運動が始まるときのことです。
大きなNP0の団体に良心的な事務局長がおられました。私はその人に「レジ袋の追放は、環境には何にも関係がなく、スーパーの売り上げを増やすだけになることを知って、運動しておられますか?」とお聞きしました。
そうしたらその良心的な事務局長は、「それが辛いのです。本当はスーパーの売り上げの増加が目的なので協力しにくいのですが、私たちの団体に入っている人の意見も無視できないので」と言われました。
『家庭で行う正しいエコ生活』武田邦彦 平成21(2009)年 講談社刊より 20251129
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