その典型的なものが「地球温暖化」です。
アメリカは1988年にアメリカ上院の公聴会で温暖化対策をぶち上げ、その年に国連に地球温暖化の抑制機構であるIPCCを作り、常に主導権を取ってきました。しかし、それから30年近く経つのに、アメリカは一度も「地球温暖化対策」をしていません。
仮に二酸化炭素の影響で地球が温暖化するなら、もっとも責任があるのは二酸化炭素を大量に排出しているアメリカと中国であり、さらに気温の変化に大きな影響を与えるのは「大陸」からですから、国民を守るという点でも、このニカ国が最初に規制をするのが当然です。
でも、もともとアメリカが言う地球温暖化問題というのは「環境問題」ではなく、「後から発展してきた有色人種の経済発展を阻害すること」を目的にした「政治問題」です。だから、アメリカの態度が正しく、それをまじめに実施している日本は少し頭がおかしいのではないかと思うほどです。
でも、そのようなことは戦前の満洲事変から大東亜戦争に至る過程でいかんなく発揮されてきたことであり、さらに本著で書いたように東條英機を今でも「戦犯」と呼んでいたり、さらには東條のお墓も作らずに、「日本は間違っていた」ということを世界に言い続けているということに繋がっています。
ナポレオン戦争の後に新しい国際秩序を決めるウィーン会議が開かれましたが、その時に首相だったフランスのタレーラン公爵は敗戦国にもかかわらず、「正統主義」を主張し、フランスの旧領を確保したばかりか、スペイン、南イタリアにもブルボン王家を残すことに成功しています。
大東亜戦争後の日本の各首相は、戦争に負けたことで、「すみません」と謝罪し続けていますが、東京リンチ(東京裁判)で「力では負けたが正義は日本にあった」と断言した東條の魂とは格段の差があります。
「人種差別撤廃、民族自決」を掲げて戦った日本と、「ヨーロッパ戦線参戦のきっかけを作ること、日本人をみな殺しにすること」を目的としたアメリカと、どちらが正義かは論じるまでもないでしょう。
本著は直接的には「ナポレオン」と「東條英機」を比較して、「1000年後には、東條英機のほうが人類に貢献したという点で大きく評価される」ことを指摘しましたが、より本質的には、日本人が冷静で論理的であること、それでいて誠実さ、礼儀正しさ、敵への敬意の念などをもって、世界の中で輝く日が来ることを期待して筆を執りました。
また、本署の完成に当たってはKKベストセラーズの武江浩企さんをはじめ、多くの方のご協力を得ました。ここに厚く御礼を申し上げたいと思います。
平成28年2月吉日
武田邦彦
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)
『ナポレオンと東条英機』武田邦彦 ベスト新書(2016)より R0720251121